Contax II

 ブラックコンタックスから4年遅れた1936年、ライプツィヒ見本市にて華々しくお披露目された。ブラコンで不評だったフロントの巻き上げノブ、4グループに分かれたシャッタースピードを全て一新。格段に操作性が向上した。表面は美しいクローム鍍金が施され、洗礼された美しいフォルムを持つ。また、ファインダーと距離計は1つの共通の覗き窓となった。高速シャッターは当時最高水準の1/1250秒。1943年まで6万台弱が製造され、爆発的に売れた。スーパーネッテル、コンタフレックス(ダルマ)の製造台数が少ないのは、このカメラのシェアが大きかったからとも言われている。
 有名な使い手として、報道写真家のロバート・キャパが挙げられる。アメリカ、イギリスをはじめとする連合軍に混じってノルマンディー上陸作戦を撮影したキャパであったが、使用機材は敵地ドイツのこのカメラなのであった。

 

 

Sonnar 50mm F2付き。最も売れたであろう組み合わせである

 

Sonnar 50mm F1.5付き。このレンズはF2の倍近い価格の高級レンズであった

 

Tessar 50mm F2.8付き。美しいクローム鍍金が調和して、このカメラが最も美しく見える組み合わせ

 

Tessar 50mm F3.5付き。大口径ではないが昨今共に堅実な写りのF3.5

 

Tessar 50mm F3.5 T 付き。このテッサーのコーティングは実に珍しい。写真からレンズが白玉でないのが分かる

 

 

 さて、この当時のカメラとレンズは一体どれくらいの価格だったのであろうか。ContaxII は家が買えるくらいしたという逸話もあるが、それは家が安かったからなのかどうかはよく分からないが、おそらく極度な円安の為または舶来物の輸入コストとマージンが当時高かったと考えるのが妥当に思える。当時の通貨単位はドイツマルクの前身のライヒスマルクであった。当時の通貨から現在の通貨への換算は難しいが、コシナさんから Sonnar 50/1.5 が出たことだし、この定価を基準に当時のレンズとボディを計算してみよう。

 

商品名 RM JPY
ContaxII
285
99,750
ContaxIII
395
138,250
Sonnar 50mm F1.5 (基準)
300
105,000
Sonnar 50mm F2
165
57,750
Tessar 50mm F2.8
100
35,000
Tessar 50mm F3.5
75
26,250
Biogon 35mm F2.8
230
80,500
Sonnar 85mm F2
330
115,500

 

 どうでしょう? なるほどという感じの価格になったのではないでしょうか。 ContaxII に S50/2を付けて\157,500ですから、今からすれば妥当ですね。向こうではこれくらいで買えたのでしょう。今はドイツまで10万円を切る航空券がたくさん出ていますが、当時はエコノミークラスでも100万は超えていました。国鉄の初乗りが20円の時代ですから、換算してみると100万円×(現在のJR初乗り130円÷当時の国鉄の初乗り20円)=650万円ということになってしまいます。もちろん、エアーではなくシッピングだったのでしょうが、輸入費用もばかにならなかったのではないかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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