フォトキナ2004 総括

  

招待客の入場は9時から。10時の一般入場を待つ人々。最終日の10月3日まで会場の熱気は衰えない


10時の一般開場で人々が流れ込んでいく。開場直後はニコン、キャノンブースに集中する

 
 


ニコンのF6はかなりの脚光を浴びた。銀塩カメラ健在を強くアピール

   

ツァイスイコンブランドのZMマウントシステムは”撮る愉しみ”という新たな方向性を打ち出した

  

         

フォトキナとは?

 ドイツのケルンで開催される長い歴史のあるカメラ見本市。かつて1974年にコンタックスRTSもフォトキナで発表され、世界中に名を知らしめた。RTSの発案から猛スピードで設計されたのも、フォトキナ開催に間に合わす為であった。フォトキナは西暦の遇数年のみ、つまり1年おきに開催され、9月末からの開催となる。開催中のケルンのホテルは町の中心はもちろん外れまで、全て各メーカーや招待客で押さえられており、個人での予約は100%不可能だ。個人で行く場合は隣町のデュッセルドルフやボンに宿を取ると良い。世界中のカメラメーカー、カメラ用品メーカーがここケルンに一同に集い、各社の新製品や主力商品をアピールする。各メーカー共にフォトキナ開催時期に合わせて新製品を発表する傾向があるくらい、業界にとって重要な見本市だ。

    

今年のフォトキナについて

 今回のフォトキナは9月28日から10月3日までの6日間開催された。私は最終日の10月3日に会場を廻った。日曜日ということもあるせいか、最終日だというのにカメラファンのフィーバー振りは全く衰えることなく、18時の終焉まで盛大であった。言うまでもないが、昨年に続きさらにデジタルの色合いが一段と濃くなったことは否めない。特にカメラメーカーの中でも大きなブースを占めるキャノンが一眼レフ・小型カメラはもちろん、プリンターやスキャナーも含めデジタル時代であることを大きくアピール。また、デジタルカメラマーケット拡大に伴いPanasonicやSONYなどのいわゆる”家電メーカー”が前回より新たに参入したわけであるが、今回は逆に用品メーカーに勢いが無く、国内用品メーカー大手でも今年は展示発表を見送るという悲しい事実もあった。やはり銀塩の衰退は、カメラバックや三脚を販売するカメラ用品メーカーにとって大きな打撃と言えよう。また、HPやエプソンなどのパソコン向けプリンターメーカーもブースを設けており、銀塩並に綺麗にプリントできる業務機などを含め、大きくアピールしていた。
 しかし暗い話題ばかりではない。ニコンが銀塩フラッグシップのF6を発表したのである。1980年のF3以来、8年間隔でフラッグシップを発表してきたが、今回も96年のF5に続き、セオリーを守ってくれた。目新しい機能はやはり11点という多点測距であろう。その他ペンタ部がF3,F4,F5と平たかったのに対して、F,F2に回帰するような尖がりお屋根となった。F5は高速モータードライブ内蔵ということで重量のある大型ボディとなり、アマチュア層に敬遠されることもあったが、今回のF6はスッキリした形にまとめ、プロ専用ということではなく、アマチュアからプロまで幅広い層に対応でき、販売台数を伸ばしたい意向が強く伺える。背面の大きな液晶ディスプレイが、銀塩カメラながらも時代を物語っている。
 最後に、ツァイスユーザーにとって朗報である。今回は京セラというメーカー枠外から注目すべき商品が発表された。ツァイスイコンのZMマウントシステムである。これはライカMマウントと互換性があり、7本のツァイスレンズとツァイスイコンのカメラボディが同時に発表された。このご時世にレンジファインダーとは確かに不思議であるが、まだまだ銀塩を愛用するライカユーザーをターゲットにしており、Mマウントにすることによりレンズの販売台数を伸ばせることを見込んでいると考えられる。いずれにしろ、ツァイスユーザーの拡大に大きく繋がるであろう。あらゆる電子化を嫌ったこのシリーズのコンセプトには、電子カメラが売りの京セラにはマッチしないこともあり、今回、国内での製造はBESSAやフォクトレンデルシリーズでお馴染みのコシナが担うこととなった。おそらく、ケンコーがディーラーになる予定。このシリーズの詳解ページを別途設けているので参照下さい。

 

それでは引き続きフォトキナ2004のレポートをご覧下さい

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